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ハードロック・カフェの買収について [社会]


(AP通信による)

昨年の12月に、フロリダなど米国南部に住む先住民セミノール族が、英国のランク・グループから“ハードロック・カフェ”関連事業を買収すると発表しました。

買収価格は、9億6,500万ドル(約1120億円)で、世界のハードロック・カフェ124店、ハードロック・カジノホテル2ヶ所などを買収しました。

マンハッタン島の、タイムズ・スクエアで会見したセミノール族の代表は、「われわれの祖先は、つまらない装身具で、ニューヨーク・マンハッタン島を売ってしまった。これから、ハードロック・カフェでハンバーガーを1つ1つ売って、マンハッタン島を買い戻したい」と発言した。

また、「これは先住民族の誇りだ。セミノールの事業多角化の好機ともなる」と話したそうです。

マンハッタン島の歴史をたどれば、17世紀の初めにオランダ人がニューヨークに上陸し、開拓を目的とした西インド会社を作り、先住民の代表よりマンハッタン島を買い取りました。

その買値は、当時の金額で60ギルダーだったそうです。

オランダ本国では、1ギルダーは道路舗装に使う一個の石くれ程度の値段だったそうです。

しかも現金ではなく、60ギルダー分のガラス玉や雑貨類との交換だったそうです。

この記事を読んだ時に、税務上の資産の交換(Property exchanges)について考えました。

米国の税務上は、「一定の条件を満たした資産の交換取引は、課税されない」となっています。

その条件とは、同種資産の交換であり(※同種資産とは、事業用あるいは投資用の資産で形態・使用目的が同一であること)、以下の条件を満たす必要があります。

①資産の交換は、同種資産内でなければならない。

②交換により資産を譲渡した日の前後45日以内に、取得すべき同種資産が確定していること。かつ、交換により資産を譲渡した日の後180日以内に、取得すべき同種資産を実際に受領し、取引が完了していること。

たとえば、不動産と不動産の交換や動産と動産の交換が該当します。

この場合には、税務上課税されません。

しかし、不動産と動産の交換や、アメリカ合衆国内の不動産と日本国内の不動産の交換は、同種資産の交換と見なされずに、税務上の課税をされます。

相手方に対し、異種資産を差し出した場合には、この異種資産に関わる損益(gain or loss)を認識(recognize)しなければなりません。

つまり、17世紀の初めに仮にアメリカに税務当局(IRS)があった場合には、マンハッタン島の公正な評価額(Fair Market Value)とオランダ人が差し出した60ギルダー分の装身具との差額分を利益として認識し、税務申告をしなければならなかったのではないでしょうか??

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Written by

Office T.Professional(オフィス ティー.プロフェッショナル)
米国税理士 小野 知史(Tomofumi Ono)

ホームページ http://www.tprofessional.jp
e-mail: info@tprofessional.jp
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