擬似外国会社について [海外進出]
擬似外国会社の活動規制について
2006年5月施行の日本の新会社法では、外国会社について以下の規定が置かれています。
(擬似外国会社)
第821条
1.日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。
2.前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
分かり易く説明すると、新法第821条1項で、擬似外国会社は日本で営業することが出来ない。
第2項で、擬似外国会社が取引を通じて関係者に損害を与えた場合は、それを行った個人が賠償しなければならない。
日本に営業所を設置している外国会社のなかには、外国での事業活動を全くせず、日本だけで事業活動をし、日本の営業所が事実上の本店となっている会社もあります。このような会社を「擬似外国会社」と呼びます。新法第821条で、擬似外国会社の活動の規制と、それを行った個人の連帯責任が規定されました。
しかし、新会社法が今年の5月に施行される前に、国会で会社法案第821条の問題が取り上げられた際に、法務省が擬似外国会社に 当たらない可能性の高い外国会社を下記の通り例示しました。
•現商法(※現在では旧商法)で認められ、日本で活動している。
•当初は、外国での事業活動が主であったが、今は日本での事業活動が中心になっている。
•現在は、日本でのみ事業を展開しているが、将来的に外国での事業展開が予定されている 。
•外国の会社法に基づいて設立され、日本で事業を展開しているが、事務・管理業務の多くを海外で行っている。
•日本で証券化事業を行う目的で設けた特別目的会社 。
※詳しくは、法務省2006年3月31日付の通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」を参照下さい。
なお、参議院法務委員会において、外国会社によるわが国への投資が、日本の経済に果たしてきた役割の重要性、およびその役割が今後とも不可欠なものと考慮し、必要に応じて会社法第821条について見直しを検討することなどを内容とする附帯決議が採択されました。
擬似外国会社に該当するかどうかは、個々の事例により判断することになりそうです。
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Written by
Office T.Professional(オフィス ティー.プロフェッショナル)
米国税理士 小野 知史(Tomofumi Ono)
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e-mail: info@tprofessional.jp
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